特定空家等と管理不全空家等には定義が存在しており、その中でそれぞれ参考とされる基準があります。大きく4つに分けられており、「保安上危険」「衛生上有害」「景観の悪化」「周辺の生活環境の保全への影響」があります。
この4つの参考基準はその中でそれぞれさらに細かく分類されていて、空き家と一言で言っても現状、問題となる空き家なのか特定空家等、もしくは管理不全空家等なのか細かい参考基準を基に該当されます。
ここでは「景観の悪化」「周辺の生活環境の保全への影響」についての参考基準をお伝えしていきます。
景観の悪化に関して参考とする基準
ここでは「適切な管理が行われてないことにより、著しく景観を損なっている状態」を特定空家等。
「同じくそのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれのある状態」を管理不全空家等といいます。
その判断は、放置した悪影響ごとにそれぞれの状態の例を参考にして、総合的に判断されます。
以下で状態の例をより具体的にお伝えしていきます。
(特定空家等)
●屋根ふき材、外装材、看板などの著しい色褪せ、破損または汚損
●著しく散乱、または山積みになっている敷地などのごみ等
(管理不全空家等)
●補修などがなされておらず、屋根ふき材、外装材、看板などの色褪せ、
または汚損が認められる状態
●清掃等がなされておらず、散乱し、または山積みしたごみ等が敷地などに
認められる状態
周辺の生活環境の保全への影響に関して参考とする基準
ここでは「その他、周辺の生活環境の保全を図るために、放置することが不適切である状態」を特定空家等。
「そのまま放置すれば、特定空家等に該当するおそれのある状態」を管理不全空家等といいます。
その判断は、放置した悪影響ごとにそれぞれの状態の例を参考にして、総合的に判断されます。
以下で状態の例をより具体的にお伝えしていきます。
1.)汚水等による悪臭の発生
(特定空家等)
●排水設備(浄化槽を含む。以下同じ。)の汚水等による悪臭の発生
●悪臭の発生のおそれがあるほどの著しい、排水設備の破損など
●敷地などの動物の糞尿など、または腐敗したごみ等による悪臭の発生
●悪臭の発生のおそれがあるほどの著しい、敷地などの動物の糞尿など、
または多量の腐敗したごみ等
(管理不全空家等)
●排水設備の破損など又は封水切れ
●駆除、清掃などがなされておらず、常態的な動物の棲みつき、
または多量の腐敗したごみ等が敷地などに認められる状態
2.)不法侵入の発生
(特定空家等)
●不法侵入の形跡
●不特定の者が容易に侵入できるほどの著しい開口部等の破損など
(管理不全空家等)
●開口部等の破損など
3.)落雪による通行障害などの発生
(特定空家等)
●頻繁な落雪の形跡
●落下した場合に歩行者などの通行の妨げ等のおそれがあるほどの著しい屋根などの
堆雪(たいせつ)又は雪庇(ゆきびさし)
(管理不全空家等)
●通常の雪下ろしがなされていないことが、認められる状態
●雪止めの破損など
4.)立木等による破損・通行障害などの発生
(特定空家等)
●周囲の建物などの破損、または歩行者等の通行の妨げなどの
おそれがあるほどの著しい立木の枝などのはみ出し
(管理不全空家等)
●立木の枝の剪定等がなされておらず、立木の枝等のはみ出しが認められる状態
5.)動物などによる騒音の発生
(特定空家等)
●著しい頻度または音量の鳴き声を発生する動物の敷地等への棲みつきなど
(管理不全空家等)
●駆除等がなされておらず、状態的な動物の棲みつきなどが敷地等に認められる状態
6.)動物などの侵入等の発生
(特定空家等)
●周辺への侵入等が認められる動物の棲みつき
(管理不全空家等)
●駆除等がなされておらず、状態的な動物などの棲みつきが敷地等に認められる状態
以上、「景観の悪化に関して参考とする基準」と「周辺の生活環境の保全にへの影響に関して参考とする基準」についてお伝えしました。
景観の悪化の参考基準にもありますが、空き家を放置すると害虫や汚水の問題だけではなく、不法侵入などの犯罪に使われる恐れも出てきます。実際、空き家が放火されてしまい隣人宅まで燃え移った放火事件もおきています。
また、汚水や腐敗したゴミから発生する悪臭も、周辺への生活環境に悪影響を与えますし、人によっては健康被害にも発展しかねません。
空き家に関する直接の被害は、所有者より空き家の隣に住んでいる隣人や近隣住民が被ることが圧倒的に多いのが実情です。
ご自身だけの問題と後回しにせず、隣人や周辺地域の立場になり考えてみると良いかもしれませんね。