問題が山積みの「空き家問題」ですが、行政が踏み込める範囲が広がったことで早期介入・早期解決に期待がもてるようにもなりました。「特定空家等」に指定されると行政が所有者に対して行う措置の効力は厳しく強力なものになります。
今回は特定空家等に対する措置の手順のうち、「把握」と「報告徴収、立入調査」について詳しい内容をお伝えしていきます。
特定空家等に対する措置の手順
①特定空家等の所有者等の事情の把握
特定空家等の所有者等の事情の把握についても、基本的には管理不全空家等と同様です。
例えば、所有者等と考えられる者に事実確認のために連絡を取ったり、空き家等が特定空家等と指定されると考えられる場合でも、ただちに報告徴収や立ち入り調査、指導などの手続きを開始するわけではなく、把握した特定空家等の所有者等の事情を考慮し、対応策を検討していきます。
しかし、周辺の生活環境に影響を与えており、速やかに措置を行う必要がある場合は、必要な手続きを行いながら勧告・命令または代執行などの措置を早急に行う可能性もあります。
②報告徴収および立ち入り調査
まず、報告徴収とは空き家等の所有者等に対し、法の規定の施行に必要な限度において、空き家等に関する事項の報告を求めるものです。
この報告徴収は、例えば特定空家等の所有者等に対し、指導を行ったものの状態が改善されなかったために、勧告等に措置を行なう上で所有者等の意向を把握するためのものであり、その内容には主に以下のようなものがあげられます。
●当該報告を求める対象とその内容
●報告を求める期限
●当該報告徴収の責任者
●報告拒否、虚偽報告は過料に処される
などの内容となっています。
立入調査は、外見上危険とされる空き家等について外観目視での調査だけでは不十分で、敷地内に立ち入り建築物に触れるなどして、詳しい状況を観察・調査し、必要に応じてさらに内部に立ち入り、柱や梁などの状況を確認する必要がある場合に実施されます。
また、立入調査が必要な空き家等に対して、立入調査を実施する場合はその5日前までに、所有者等にはその旨を通達されます。