特定空家等に該当される前にまず「管理不全空家等」に該当されますが、管理不全空家等において必要な措置がいくつかあり、措置を行う手順は決まっています。
ここでは管理不全空家等に対し行う措置の手順を5つの項目に分けて詳細をお伝えしていきます。
管理不全空き家等に対する措置の5つの手順
管理不全空家等として、所有者等に対して必要な措置をとるよう求める場合、市町村は指導・勧告を行いますが、管理不全空家等と該当する前に必要な措置、情報の提供・助言を行います。それでも所有者等が空き家に対して必要な対策や改善等を行わなかった場合、指導の措置を行います。
このように、すぐ勧告の措置をとらず初めに助言・指導を行うのは、所有者等による自発的な改善を促すためです。
以下では、空家等の把握から勧告になるまでの手順を5つに分けてお伝えしていきます。
空家等の所有者等の事情の把握
空家等の所有者は、自分が所有する空家等の状態を把握していない可能性や、相続により取得した等の事情により、自分が所有者であることを認識していない可能性もあります。
したがって、適切に管理されていない空家等について先ず所有者等に連絡を取り、空家等の現状を伝え、今後の改善方策に対する考え、処分や活用などについての意向を所有者等の主張を含めた事情の把握をします。所有者への連絡の手段は、行政側は必ずしも書面で行う必要はなく対面やメール、電話などを選択することも可能となっています。
調査
市町村は空家等の所有者等を把握するための調査のほか、空家等に関する法の施行のための調査を行います。まず、空家等の外観目視による調査を行い、物的状態や立木竹の状態から管理の状況を把握するほか、所有者等の承諾を得て立会いの下、敷地内や室内に入り状態などの調査を行います。
所有者等に対しても適切な管理を行う意向があるか、について聞き取り調査を行います。
情報の提供・助言
所有者等の事情によって、具体的な対応方策を検討します。
例として以下をあげます。
●所有者等に改善の意思はあるが、その対策法が分からない
●遠方に居住しているため、物理的に自ら対策を取ることができない
●経済的な対応はできるが、身体的な理由から対応が困難である
などの場合があり、状況に応じて空家等の除去(解体)、修繕、管理等に関して相談を受けることができる法人や、活用できる助成制度を紹介するなど所有者等に対し解決できるよう情報の提供・助言をします。
指導
情報の提供・助言での改善がみられなかった場合、空き家の所有者等に対して次のような指導が行われます。
●どの建物が管理不全空家等の指導の対象になっているのか、その空き家が現状どのような状態になっているのか、適切な管理がされてないことにより、このままでは周辺にどのような悪影響を及ぼす可能性があるかを指導します。
●管理不全空家等が特定空家等になることを防ぐために、例えば定期的に雨水侵入の痕跡がないか点検したり、防腐処理など状態の改善を行うよう指導します。
●指導したにも関わらず、管理不全空家等の状態が改善されずそのまま放置すれば、特定空家等に該当する恐れがあると判断された場合、勧告を行う可能性があること、勧告の措置になると地方税法の規定に基づき、管理不全空家等の敷地について、固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外されることを伝え、指導します。
勧告
指導してもなお、管理不全空家等の状態が改善がされず、放置すれば特定空家等に該当となるおそれがあり、指導した所有者等には特定空家等にならないよう、より具体的な措置をとることを勧告することができます。
勧告が行うことができる判断の参考
●指導後、管理不全空家等の状態が勧告を行おうとする時点で、空き家の状態が所有者等によって改善に係る措置がされた形跡があるかどうか
●指導後より管理不全空家等の状態が悪化しているか、またそれにより特定空家等に該当される可能性があるかどうか
●管理不全空家等の所有者等に対して、複数回の指導をしたが改善されていない
●十分な猶予期限を与え、指導による措置を促し求めたものの、その期限内に十分な必要な措置がとられなかった
などが、勧告を行うかどうかの判断の参考となります。
勧告の実施
●管理不全空家等の所有者等に対し、指導にとる措置に比べ、より具体的な装置内容が明確に示されます。
例えば、指導では「定期的に屋根ふき材を点検し、問題があれば補修すること」といった内容に対し、勧告では「南側の屋根ふき材の補修を行うこと」など、具体的に何をどのようにすればならないかを書面で行われます。
●地方税の規定に基づき、管理不全空家等に係る敷地について、固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外されること、それに併せ特定空家等に該当された場合は法に基づき、必要な措置をとる可能性があることを書面で行われます。
なお、管理不全空家等の所有者等が指導または勧告に係る措置を行ったことが確認されれば、管理不全空家等ではなくなります。管理不全空家等となくなると要件を満たす建物であれば、固定資産税等の住宅用地特例の適用対象になります。
勧告に関して、管理不全空家等の所有者が複数いる場合は、市町村が確知している所有者全員に対して勧告が行われます。