現在、日本はさまざまな深刻な問題を抱えています。
代表的な問題をあげると少子化、物価高騰、社会保険や年金などといったものがありますが、これらと同様に深刻化されているのが「空き家問題」です。
総務省が実施する「住宅・土地調整調査」があり、これは5年ごとに実施されています。
最新では平成30年(2018年)の調査結果が出ており、それによると平成30年時点での空き家総数は全国で848万9千戸にのぼり、前回調査が実施された平成25年(2013年)と比べ29万3千戸(3.6%)増加となっています。
また、住宅総数に占める空き家の割合(空き家率)は13.6%と過去最高となりました。
少子化による人口減少も踏まえ、今後さらに空き家は増え続けると考えられており深刻な社会問題となっています。このような背景から、政府は空き家に関する問題を早急に対応、解決できるよう2015年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」を施行しました。
空き家等対策の推進に関する特別措置法(空き家法)とは?
正式名称は「空家等対策の推進に関する特別措置法」ですが、「空家等対策特別措置法」や「空き家法」と略称されて呼ばれることが多いようです。この法律は、近年増加し続けている空き家を問題視し、それを解決するために、2015年5月に全面施行された法律で、2023年6月にその一部を改正する法律が公布され、2023年12月に全面施行されました。
空き家法が施行されるまで、自治体は所有者の許可なしに勝手に敷地内に立ち入ることができませんでした。そのため、長年放置された空き家と認識していても、所有者と連絡がつかないことには自治体はどうすることもできなかったのです。
しかし、この法律が施行されたことにより、自治体はたとえ所有者と連絡がつかずとも敷地内に立ち入り調査を行えるようになりました。
空き家の定義について
空き家とは、簡単にいうと居住、他に使用されていない家や建物のことを指します。
2015年(平成27年)に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(略称:空き家法)」では、空き家の定義として「「空家等」とは、建築物またはこれに附属する工作物であって居住、その他の使用がされていないことが常態であるのも及び敷地をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く」と定義されています。
具体的な判断基準として、一年間を通して人の出入りの有無、水道、電気、ガスの使用状況、その物件が適切に管理されているか、物件の登記記録など総合的に見て「空き家」かどうか判断する、とされています。
「特定空家等」に指定される4つのポイント
定義された空き家の中で「空家等対策の推進に関する特別措置法」の調査において、以下のような状態であると判断された空き家は「特定空家等」と定義されます。
ポイント①:そのまま放置することで倒壊等、著しく保安上危険となるおそれのある状態
ポイント②:そのまま放置することで、著しく衛生上有害となるおそれのある状態
ポイント③:適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態
ポイント④:その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
特定空家等に指定された空き家は、行政の助言や指導に対し、適切な対応をしなくてはなりません。
空き家法が施行され、自治体が法令に基づき早期介入できるようになったことで、長年放置され倒壊の危険性があった空き家などに対し迅速に対応できるようになりました。
現在、相続などで空き家の所有者になられている方、居住しているお住いが空き家になる可能性のある方は今一度、ご自分で家屋の状態などを確認することをおすすめします。