深刻な社会問題ともなっている空き家問題ですが、それを解決すべく2015年5月に「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、空き家法)」が全面施行されました。
この「空き家法」の施行により、自治体は空き家の所有者と連絡が取れずとも、空き家の敷地内に立ち入り調査が行えるようになりました。
しかし、現行法のままでは空き家問題の介入に限界があると考え、2023年6月に現行法の一部を改正する案を公布し、同年12月に全面施行されました。改正法ができたことで、さらに自治体が介入できる幅が広がり、今後空き家問題を早期解決することが期待できるようになりました。
ここでは改正法の要である3本柱の中の「管理の確保」についてお伝えしていきます。
2本目の柱「管理の確保」
「管理の確保」は、特定空家等に指定される前の段階の「管理不全空き家」が新設されたことにより、自治体などが早期介入で「特定空き家」になるのを未然に防ぐことを目的とします。
これにより、周辺環境の改善や安全確保が図られる他、所有者に対する管理責任の明確化や適切な管理方法の指導、また必要に応じた行政措置ができるようになりました。
「管理の確保」では、以下のような具体的な取り組みが行われます。
●所有者へ管理責任の「指導」
空き家の所有者は、定期的な点検や保守、必要な修繕などを行う責任と義務があります。また、行政が空き家の状態を定期的にチェックし「指導」することで荒虚や安全上の問題、空き家の崩壊のリスクが軽減されます。
●適切な管理方法の普及
空き家の所有者や関係者に対して、適切な管理方法や管理手法についての啓発活動や教育プログラムが実施されます。これにより、所有者が適切な管理方法を理解し、実践することを促進します。
●行政措置の導入「勧告」
指導を受けてもなお、空き家の所有者が適切な管理を怠った場合、自治体は所有者に対し「勧告」ができます。
勧告を受けた空き家の所有者や関係者は、行政機関の指導を受けながら必要な措置を行わなけれななりません。
なお、この「勧告」を受けている間、当該の空き家は固定資産税の”住宅用地特例(1/6~1/3に減額)”が解除され、所有者は空き家にかかる税金の軽減が受けれなくなります。
以上の取り組みにより、空き家が適切に管理され、周囲への悪影響が最小限に抑えられます。
管理の確保は、地域の安全性や景観の維持に貢献し、地域全体の賑わいや魅力の向上に繋がると考えられています。勧告を受けてしまうと、最大1/6まで減額される減税措置となる「国定資産税の特例」の対象から除外される可能性があります。
ですから、勧告を受ける前に空き家の現状をしっかり把握することが必要となります。