現行法では社会問題にもなっている空き家対策の根本的な解決にはならないと考えられ、2023年12月に現行法の一部改正が全面施行された「空き家等対策の推進に関する特別措置法」。
改正されたことにより、市区町村が介入できる範囲が広がり、いっきに空き家問題の解決に向けての希望ができました。
ここでは3本目の柱の中の「特定空家等の除去等」についてお伝えしていきます。
3本目の柱「特定空家等の除去等」
「特定空家等の除去等」の背景にはいくつかの要因があるとされ、空家や廃墟は地域の景観を悪化させ地域全体の住みやすさを損なうだけでなく、放火や不法侵入などの犯罪の温床となったりします。
また、空家や廃墟が増えると周辺地域の不動産価値が下がり、不動産市場の停滞や資産価値の低下によって、地域経済活動に悪影響を与えたり、土地が有効活用されず、周辺地域や都市の持続的な発展や土地利用が妨げられることがあります。
このような背景から、空家等の除去等が地域の景観や安全性の向上、経済活性化、犯罪の防止といった社会問題の解決などに資する重要な取り組みとされています。
「特定空家等の除去等」では、以下のような具体的な取り組みが行われます。
●改正前は、市区町村は特定空き家の所有者から報告徴収を行う権限はありませんでした。
令和5年の改正で、市区町村に所有者に対する報告徴収権を付与しました。これにより特定空き家への勧告・命令等が円滑に行えます。
●改正前は、解体許可や建築許可等の手続きには複雑な書類や命令等の手続きの必要があり、数か月以上かかることがありました。改正で報告徴収権を付与されたことにより、倒壊の恐れなど緊急を伴う特定空き家に対し、命令等の手続きを経ずとも迅速に代執行を行えるようになりました。
●改正に伴い、空き家の解体費用や修繕費用などの代執行費に対し、略式代執行・緊急代執行においても国税滞納処分の例により、特定空き家の所有者の財産から強制的に費用を徴収できるようになりました。
●市区町村が裁判所に「財産管理人」の選任を請求することができるようになりました。
財産管理人とは、空き家となっている家屋や建物の管理をする人のことを指します。
通常は所有者が管理をお願いしますが、相続放棄・所有者不明などといった場合、裁判所に財産管理人の選任を請求することで、所有者に代わって市区町村が空き家の処分や修繕を実施することが可能となりました。
以上の取り組みにより、空き家や廃墟の問題が解消され、地域の景観や生活環境の安全性が向上し、地域全体の活性化が促進されることが期待されています。