昨今の日本における深刻な社会問題の一つともなっている「空き家問題」
この問題を解決すべく「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されましたが、空き家の増加は止まらず現行法での「特定空き家」の対策にも限界がありました。
そこで2023年6月に現行法の一部を改正する法律を公布し、同年12月に施行されました。
改正法の要、3本の柱
はじめにお伝えしましたが、「空家等対策の推進に関する特別措置法」の一部改正が2023年12月に施行され、それにより「家等活用促進区域」が創設されました。
これは悪影響を及ぼす特定空家等の除去等の更なる促進に加え、特定空家等に指定される前の段階を「管理不全空き家」とし、空き家の有効活用や適正な管理を確保し、空家等対策を強化するものとしています。
改正法は「活用拡大」「管理の確保」「特定空家等の除去等」が要となる3本の柱とされています。
それでは「活用拡大」「管理の確保」「特定空家等の除去等」の3本の柱を以下でそれぞれお伝えしていきます。
1本目の柱「活用拡大」
空き家の発生は、倒壊や犯罪等の危険性が高まるだけでなく、地域の活力の低下、まちづくりに悪影響を与える可能性が高まります。また、建築基準法の規制によって築年数の古い建物の建替えや改築などを行いたくても、これが障壁となり進められないことがありました。
活用拡大は、空き家を有効活用することを目指す柱とされており、具体的には以下のような施策や取り組みが含まれます。
●活用促進区域の指定と規制の緩和
市区町村が重点的に空家等の活用を図る特定の地域を「促進区域」と指定し、優遇措置や支援制度を適用することで、そこでの空き家の再利用を促進します。それと同時に障壁となっている建築基準法や土地利用計画の規制を緩和し、建物の用途変更や建替えを容易にすることで空き家の活用を促進します。
●助成金や補助金の提供
空き家を再利用するための費用や改修費用を支援する制度が設けられました。これにより空き家の所有者の負担を軽減し、再利用を促進します。
●地域コミュニティの支援と新たな活用モデルの開発
空き家の情報を広く公開し、活用に関する情報を提供します。また、所有者や地域住民に対して活用の重要性や方法について啓発活動を行うほか、空き家を利用した地域コミュニティ活動やイベントの支援を行います。
その地域に合った特性や需要の活用方法を模索し、空き家を活用した新たなビジネスモデルやコンセプトの開発が支援されます。
これらの施策により、所有者や地域住民が空き家の再利用に積極的に取り組みやすくなり、地域全体の賑わいや交流・活性化が図られます。
これまで、建築基準法などの規制がネックとなっていましたが、「敷地特例適用要件」に当てはまる空家であれば、建て替えや修繕などが進めることが容易になりました。
現在、空き家を所有している方や、所有者になる可能性がある方はその空き家が「敷地特例適用要件」に適合しているか、調べてみるのも良いでしょう。